2016年12月08日

後藤製茶さん初訪問!

 先日豊橋は後藤製茶さんの所を訪問してまいりました。

和紅茶好きの中にはご存知の方もいらっしゃるかとお思いますが、尾張旭で行われている和紅茶フェスティバルにてグランプリを2年連続受賞された”後藤潤吏”さんのいらっしゃる茶園です。
一芯二葉では、2014年より一般に流通していない研究用の素晴らしい紅茶を取り扱わせていただいております。
緑茶品種を6種MIXした複雑でフラワリーな香りの紅茶や、手摘み手揉みで極少量しか作られない品種物の紅茶などなど。
稀少なグランプリ受賞茶を入荷した時は、あっという間に完売致しました。
個人的な好みでもありますが、これまで飲んだ和紅茶の中でそのクォリティはずば抜けており、日本で最高の紅茶を作る職人のお一人かと思っております。
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ちょうど今年の製茶をすべて終えられたとのことで、
お声かけいただいて初めての茶園訪問となりました。
新幹線で豊橋に着くと、後藤潤吏さんがお迎えに来て下さいました。
いつもありがとうございます(笑)
茶園は思いのほか近くて駅から30分ほど。
さっそく茶畑を見せてもらいました。
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あさつゆ、やぶきた、とよか、べにふうき、等々たくさんの品種をお持ちです。
先々代のおじいさまが割とフリーダムに品種ものを植えたらしく、幾畝かごとに別品種の茶畑になっているのだと説明されました。パッと見は素人目にはわからないですね。
お茶の花も少しずつ見た目や香りに違いがあります。
爽やかだったり、フローラルだったり。
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せっかくなので、お茶の種もいただいてきました。
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どの茶樹も剪定し終えたところで、来年芽吹くまでしばらくお休み。
例年は11月中には作業を終わらせるそうなのですが、今年は予定が押して12月までかかってしまったとのこと。
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そういえば、たくさんの蜂が飛んでいました。
お茶の花の蜜は美味しいのでしょうか?
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お茶の苗も沢山ありました。
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優良種は増やしていつか美味しいお茶になるのでしょうか?

お茶以外にも色々育てているそうで、みかん、くるみ、枇杷、グァバ、大根、バジル、ハーブなどなど80種以上もあるそうです。
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お昼もご馳走になったのですが、そこでも自家製のお野菜が。
お茶以外もとっても美味しいです。

お昼休憩を挟んで、手揉み茶の実演をしていただきました。
今回は”ゆたかみどり”と”べにふうき”
どちらも10月に摘んだものを冷凍保存した茶葉です。
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まずは”ゆたかみどり”
袋から取り出してしばらく常温解凍。
程よい温度になったら揉捻開始。
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台湾茶の手揉みに似て、茶葉に不要な傷がつかない様に柔らかく揉んでゆきます。
後藤さん本人にしか分からない触感、香りになったところで揉捻終了。
かごに軽く固めて発酵に移ります。
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続いて”べにふうき”
ここでちょっとした驚きがあるのですが、茶畑を見学していた時に香ったべにふうきのお茶の花と同じ香りがします。
後藤さんも仰っていたのですが、お茶の花の香りから引き出せる香りが分かる……かも?
と、揉捻を終了してこちらも発酵に移ります。
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この時の気温は15度でしたが、発酵が進むにつれて少しずつ茶葉の温度が上がってきます。
測った限りでは、内側の茶葉は20℃を越えました。
発酵時間は茶葉の香りを見て判断します。
発酵が進むにつれ、どちらも花の様な香気成分が強くなってゆきます。
ゆたかみどりに関しては萎凋後柑橘系の香りが出てくるタイミングで、べにふうきに関しては、花の香りの前に出てくるエビ様の甲殻類の香りの所で次の工程に入ると美味しいお茶に仕上がるのだとか。
べにふうきは今回、いきなり花の香りが強く出てきたため、どこまで発酵させるか判断が難しかったようです。
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発酵を終えましたが、どちらも青々しい見目の微発酵。
ダージリン1stフラッシュより更に青いですね。
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続いては火を入れて発酵を止めます。
極少量の茶葉なので、ホットプレートを使用。
烏龍茶で言うところの殺青ですが、後藤さんによると香りの立ちをシャープにする目的があるのだそうです。
さっと火を入れ、焦げてしまう前に取り上げます。
これが不十分だと生っぽい味わいに、長ければ不要な香ばしさが出てしまいます。
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最後に乾燥機にかけます。
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点火!
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40分ほど乾燥させて出来上がり♪
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出来立ての紅茶を早速試飲です。
ワクワクしますね。
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※写真は別の紅茶を淹れている所で茶液が赤いです。
 今回のお茶は透明感のある黄檗色でした。

おくゆたかの方は緑茶感を残した品の良い風味。
和紅茶ならではの爽快な味わいです。
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べにふうきの方は揉捻時に感じたあの花の香りと、ほのかなメンソール香を感じます。
芯芽の特有のこってりとした甘味もある個性的な紅茶に仕上がりました。
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この様に日々時期を変え、品種を変え、萎凋時間を変え、揉捻の強さを変え、発酵度を変え等々、何年も研究を重ねた成果がお茶の味に出ているのかと思うと、感慨深くなります。
今年のテーマは『どこまで発酵を引っ張ればおいしくなるか』だったそうで、結果は散々だったとのこと。手摘みの貴重な茶葉を失敗も恐れず良いお茶づくりの為に使用し、試行錯誤を繰り返すその姿勢には頭が下がる思いです。
この日はお茶の木を育てる大変さなどもお聞き出来たので、これまで以上に心を込めてお茶を点てなければと改めて思った次第です。

この他にも研究中の紅茶や烏龍茶、製茶指導も兼ねてブラジルで作ってきた紅茶等、製品として表に出てくることのない様々なお茶試飲させていただきました。
茶園に直接伺うとネットで調べたり、人づてに聞いたのでは分からない部分が体験できるので、とても勉強になります。
今度伺う時は製茶をさせていただこうかなぁ、と思っていたりします。

終電ギリギリですが、後藤さん親子と1枚。
本当にお世話になりました。
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posted by 一芯二葉 at 21:07 | TrackBack(0) | 一芯二葉のよしなしごと
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